遺言書の15個の効力をわかりやすく解説!

最終更新日 2025年3月31日
遺言書はどのような効力を持っているのか、作成すると自分の思い通りに財産を分配できるのかなど、その効力に疑問を抱えている方は多いでしょう。
遺言書は、自分の死後に財産をどのように分配するかを決める文書です。
しかし、効力は法律で定められており、思い通りにならない場合もあります。
したがって、効力について正しく理解することで、円滑な相続を実現できます。
特に、15個の効力を知ると、自分の意思を確実に伝えられる遺言書を作成できるでしょう。
この記事では、遺言書の効力が発生するタイミングや期間、15個の具体的な効力について詳しく解説します。
作成する際に押さえておくべきポイントを理解し、自分の意思を確実に伝える遺言書を作成してください。
- 1 遺言書の効力が発生するタイミングや期間
- 2 遺言書が持つ15個の効力
- 2.1 認知(民法781条2項)
- 2.2 未成年後見人および後見監督人の指定(民法839条・民法848条)
- 2.3 相続人の指定や指定の委託(民法902条)
- 2.4 遺言執行者の指定や指定の委託(民法1006条1項)
- 2.5 推定相続人の廃除および廃除の取消し(民法893条・民法894条2項)
- 2.6 遺産分割方法の指定や指定の委託(民法908条)
- 2.7 特別受益の持戻し免除(民法903条3項)
- 2.8 相続人相互の担保責任の指定(民法914条)
- 2.9 遺留分の減殺方法の指定(民法1047条1項2号)
- 2.10 遺贈(民法964条)
- 2.11 信託法上の信託の設定(信託法3条2号)
- 2.12 祭祀承継者の指定(民法897条1項但書)
- 2.13 生命保険金の受取人の変更(保険法44条)
- 2.14 一般財団法人設立のための定款作成(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律152条2項)
- 2.15 「相続させる」旨の遺言(実務慣行を最高裁判例が追認)
- 3 まとめ
遺言書の効力が発生するタイミングや期間
遺言書の効力は、遺言者の死亡時から発生します。
生前に作成した文書でも、生きている間は効力を持ちません。
遺言者の死亡が確認された時点で、遺言書の内容が法的な効力を持ちます。
なお、効力に期限はありません。遺言者の死亡後、遺言書の内容が実行されるまで効力は継続します。
ただし、内容によっては、一定の期間内に手続きを行わなければいけません。
また、効力は法律で定められた要件を満たしている場合にのみ認められます。
例えば、自筆証書遺言の場合は、以下が必要です。
- 全文自筆
- 日付の記入
- 署名
- 押印
公正証書遺言の場合は、公証人が関与する必要があります。
遺言書が持つ15個の効力
遺言書には、法律で定められた15種類の効力があります。
これらの効力を理解すれば、遺言書を作成する際に自分の意思を確実に伝えられます。
ここでは、遺言書が持つ15個の効力について詳しく見ていきましょう。
認知(民法781条2項)
認知とは、婚姻外で生まれた子(非嫡出子)を、法律上の実子として認めることです。
認知された子は法定相続人となり、相続権を得られます。
認知の効力は遡及せず、遺言者の死亡時点から将来に向かって効力を持つのが特徴です。
生前認知と比べると簡便な方法ですが、認知された子の利益を考慮すると、生前認知を行うのが望ましいでしょう。
また、遺言者の死後に発覚するため、他の相続人との関係に影響を与える可能性があります。そのため、認知を行う際は他の相続人への配慮が欠かせません。
未成年後見人および後見監督人の指定(民法839条・民法848条)
遺言者に未成年の子がいる場合、その子の後見人を指定できます。
これにより、遺言者が亡くなった後、未成年の子の保護と財産管理を行う人を決められる重要な効力です。
指定された後見人は、家庭裁判所の選任を経て正式に後見人になります。
後見監督人も同様に指定でき、後見人の監督を行うことが可能です。
この効力により、遺言者は自分の意思に基づいて子の将来を託す人を選べます。
ただし、指定された人が後見人として適切でないと判断された場合は、家庭裁判所が別の人を選任する可能性もあります。
相続人の指定や指定の委託(民法902条)
遺言者は、法定相続人以外の人を相続人として指定できます。
法律で定められた相続順位や相続分を変更し、遺言者の意思に沿った相続の実現が可能です。
また、指定された相続人は、法定相続人と同様の権利を持つほか、遺言者は第三者に相続人の指定を委託できます。
ただし、指定には制限があり、遺留分を侵害する場合は遺留分侵害額請求の対象となる可能性があります。
そのため、遺言者は法定相続人の遺留分を考慮しながら、相続人の指定を行わなければいけません。
遺言執行者の指定や指定の委託(民法1006条1項)
遺言執行者とは、遺言の内容を実行する役割を担う人です。
遺言者は、遺言書で遺言執行者を指定できます。これにより、遺言者の意思を確実に実現するための体制を整えられます。
指定された遺言執行者は、遺言の内容に従って遺産の管理や分配を行わなければいけません。
また、遺言者は第三者に遺言執行者の指定を委託できます。
遺言執行者の指定は、複雑な相続案件や相続人間の対立が予想される場合に有効です。
ただし、遺言執行者には重要な責任が伴うため、信頼できる人物を選ぶ必要があります。
推定相続人の廃除および廃除の取消し(民法893条・民法894条2項)
相続人の廃除とは、法定相続人の相続権を剥奪することです。
遺言者は、相続人に一定の事由がある場合、遺言によって相続人を廃除できます。また、一度廃除した相続人の廃除の取り消しも可能です。
廃除された相続人は相続権を失い、相続から除外されます。
廃除の事由は、遺言者に対する虐待や重大な侮辱などです。
ただし、廃除は相続人の権利を奪う重大な行為のため、慎重に判断しなければいけません。
また、廃除された相続人は、家庭裁判所に廃除の取消しを申し立てられます。
したがって、遺言者の意思が貫徹されるとは限りません。
遺産分割方法の指定や指定の委託(民法908条)
遺言者は、遺言によって遺産の分割方法を指定できます。
これにより、遺言者の意思に沿った形での分配が可能です。
相続人間の争いを防ぐには、有効な手段といえるでしょう。
指定された分割方法に従って、各相続人に遺産が分配され、遺言者は第三者に遺産分割方法の指定を委託できます。
ただし、遺産分割方法の指定には制限があるため、注意が必要です。
遺留分を侵害する場合は、遺留分侵害額請求の対象となる可能性があります。
したがって、遺言者は各相続人の遺留分を考慮しながら、公平な分割方法を指定しなければいけません。
特別受益の持戻し免除(民法903条3項)
特別受益とは、相続人が被相続人から生前に受けた贈与や、相続開始後に遺贈によって受けた財産です。
通常は、相続財産に持ち戻して相続分を計算されますが、遺言によって免除できます。
免除された特別受益は、相続財産の計算から除外され、特定の相続人に有利な相続が可能です。
ただし、持戻し免除によって他の相続人の遺留分を侵害する場合は、遺留分侵害額請求の対象となる可能性があります。
そのため、遺言者は各相続人の遺留分を考えながら、実施しなければいけません。
相続人相互の担保責任の指定(民法914条)
相続人相互の担保責任とは、遺産分割後に分割された財産に瑕疵があった場合の責任です。
遺言者は、遺言によって担保責任の内容を指定できます。
指定された内容に従って、相続人間の担保責任が定められるため、遺産分割後のトラブルを未然に防げるのが特徴です。
特に、不動産や事業用資産など、価値の変動が大きい財産を相続する場合に適しています。
ただし、指定内容が不公平である場合、相続人間の争いの原因となる可能性が高いです。
したがって、慎重に検討する必要があります。
遺留分の減殺方法の指定(民法1047条1項2号)
遺留分とは、法定相続人に保障された最低限の相続分です。
遺言者は、遺言によって遺留分を侵害する場合の減殺方法を指定できます。
指定された方法に従って、遺留分を侵害する遺贈や贈与の減殺が行われるため、遺留分侵害額請求によるトラブルを最小限に抑えられます。
ただし、遺留分は法律で保障された権利です。そのため、遺言者の意思だけでは完全に排除できません。
公平な減殺方法を指定する際は、遺言者が各相続人の遺留分を十分に考慮する必要があります。
遺贈(民法964条)
遺贈とは、遺言によって特定の財産を特定の人に与えることです。
遺言者は、相続人以外の第三者に対しても遺贈を行えます。
これにより、法定相続人以外の人にも財産を残すことが可能です。
効力は遺言者の死亡時に生じ、遺贈を受けた人(受遺者)は指定された財産の所有権を取得します。
また、特定遺贈(特定の財産を与える)と包括遺贈(財産全体の一定割合を与える)があります。
ただし、遺贈によって相続人の遺留分を侵害する場合は、遺留分侵害額請求の対象になる可能性があるため注意が必要です。
遺言者は各相続人の遺留分を考えつつ、適切な遺贈を行う必要があります。
信託法上の信託の設定(信託法3条2号)
遺言者は、遺言によって信託を設定できます。
信託とは、財産の名義や管理権を受託者に移転し、その財産を受益者のために管理・処分してもらう制度です。
これにより、遺言者の死後も財産を効果的に管理・運用できます。
指定された受託者が財産を管理し、受益者のために運用するのが特徴です。
信託を利用すると、未成年者や障害のある相続人の財産管理や事業承継、慈善事業への寄付などをスムーズに行えます。
ただし、信託の設定には専門知識が必要です。
適切に設計しないと、意図した効果が得られない可能性があります。
そのため、信託の設定を検討する場合は、専門家のアドバイスを受けるべきです。
祭祀承継者の指定(民法897条1項但書)
祭祀承継者とは、位牌や墓地、仏壇などの祭祀に関する財産を承継する人です。
遺言者は、遺言によって祭祀承継者を指定できます。
これにより、家族の宗教的な伝統や慣習を守る人の選択が可能です。
指定された人が祭祀に関する財産を承継し、祭祀を行う責任を負いますが、必ずしも法定相続人である必要はありません。
祭祀承継は日本の文化や伝統と深く結びついているため、遺言者の意思を尊重するべきです。
ただし、承継者の指定が相続人間の争いの原因になる可能性があるため、家族の意向も考慮しながら慎重に決定する必要があります。
生命保険金の受取人の変更(保険法44条)
遺言者は、遺言によって生命保険金の受取人を変更できます。
これにより、保険契約時に指定した受取人を変更し、最新の意思の反映が可能です。
指定された新しい受取人が保険金を受け取る権利を得ますが、生命保険金は相続財産には含まれません。
そのため、遺言による受取人の変更は相続とは別の効力を持ちます。
ただし、生命保険金受取人の変更には一定の制限があり、保険会社への通知が必要な場合があります。
また、変更によって他の相続人の利益が損なわれる可能性もあるため、慎重に検討しなければいけません。
一般財団法人設立のための定款作成(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律152条2項)
遺言者は、遺言によって一般財団法人を設立するための定款を作成できます。
これにより、遺言者の財産を使って公益的な活動を行う法人の設立が可能です。
定款に基づいて法人が設立され、指定された財産が寄付されると、遺言者の意思を永続的に実現する仕組みを作れます。
ただし、財団法人の設立には複雑な手続きが必要です。
設立後の運営にも専門知識が求められるため、専門家のアドバイスやサポートは必須といえるでしょう。
「相続させる」旨の遺言(実務慣行を最高裁判例が追認)
「相続させる」旨の遺言は、特定の相続人に特定の財産を相続させることを明示する遺言の形式です。
主に、実務慣行として広く用いられており、最高裁判例によって効力が認められるケースがあります。
この場合、指定された相続人が、指定された財産の権利を直接取得します。
この形式は、遺産分割協議を経ずに財産を承継できるため、相続手続きを簡略化できる点がメリットです。
ただし、遺留分を侵害する場合は遺留分侵害額請求の対象となる可能性があります。
まとめ
遺言書には、15個の重要な効力があります。
これらを理解し適切に活用すれば、遺言者の意思を実現できます。
しかし、遺言書の作成には法律的な知識と慎重な判断が必要です。
相続に関する問題は複雑なため、専門的なサポートが必要なシーンがあるでしょう。
弁護士法人ひいらぎ法律事務所では、経験豊富な弁護士が遺言書作成のサポートを行っています。
遺言書の効力を最大限に活かし、あなたの意思を確実に伝える文書を作成するお手伝いをいたします。
遺言書作成でお悩みの方は、ぜひ弁護士法人ひいらぎ法律事務所にご相談ください。
専門家のアドバイスを受ければ、安心して遺言書を作成できるほか、大切な人々に思いを託せます。
最終更新日 2025年3月31日