遺言書が無効になる12のケース | 無効にされないためのポイントを解説!

最終更新日 2025年3月31日
問題なく作成したつもりの遺言書でも、無効になるケースは珍しくありません。
遺言書は被相続人の最後の意思を示す書類ですが、法律で定められた要件を満たしていないと無効になります。
遺言書が無効になる原因は、さまざまです。
日付の記載漏れや署名・押印の不備、遺言能力の欠如など、一見すると些細に思える点でも無効になる可能性があります。
公正証書遺言でさえ、特定の条件下では無効になってしまうでしょう。
この記事では、遺言書が無効になる12のケースをはじめ、遺言書が無効になった場合の対処法、無効にされないためのポイントを詳しく解説します。
法的に有効な遺言書を作成したい方は、ぜひ参考にしてください。
遺言書が無効になる12のケース
ここでは、遺言書が無効になる12のケースを紹介します。
遺言書作成日の日付が記載されていない
遺言書に作成日が記載されていないと、無効になる可能性が高くなります。
日付の記載は、遺言書の作成時期を特定するだけでなく、複数の遺言書が存在する場合にどれが最新のものかを判断するために欠かせません。
また、遺言者の遺言能力を判断する際、その基準となる日付としても必要です。
日付が『○月吉日』といった表記で不明瞭だったり、一部が省略されていたりする場合は、無効になる可能性があります。
したがって、作成する時には、年月日を正確に記載しなければいけません。
日付の記載漏れは、遺言書全体の有効性を損なう重大な不備です。細心の注意を払って作成しましょう。
遺言者本人による署名と押印がない
遺言書には、遺言者本人による署名と押印が必要です。
署名と押印が欠けている場合、無効になります。
署名は遺言者自身が自筆で行う必要があり、他人の代筆は認められません。
押印は実印の使用が望ましいですが、認印でも問題ないです。
署名と押印は、遺言書が確かに遺言者本人によって作成されたことを証明する要素です。
遺言者の名前が本文中に記載されていても、署名欄に署名がない、押印を忘れた場合は無効になります。
遺言書を作成する時には、必ず最後に署名と押印を行いましょう。
15歳未満の未成年が書いた場合
民法では、15歳に達した者が遺言ができると定められています。
この規定は、遺言者が遺言内容や効果を理解し、適切な判断を下す能力を有していることを前提としています。
したがって、15歳未満は法律上遺言能力がないとみなされるため、たとえ遺言書の形式が整っていたとしても、内容は実現されません。
年齢による制限は、遺言者の判断能力を保護するために欠かせない基準です。
自筆されていない(自筆証書遺言)
自筆証書遺言の場合は、遺言書の全文を遺言者本人が自筆で書く必要があります。
パソコンやワープロで作成したり、他人に代筆してもらったりした遺言書は無効です。
ただし、財産目録に限っては自筆でなくてもよいとされています。
自筆による作成は、遺言書が確かに遺言者本人の意思によるものであることを証明する要素です。
また、遺言者の筆跡鑑定が可能になるため、書類の真正性を確認する手段にもなります。
遺言書を作成する時には、読みやすい文字で丁寧に書くことを心がけ、全文を自筆で記載してください。
訂正に修正液や修正テープを使用している
遺言書の内容を訂正する際は、修正液や修正テープの使用を避けなければいけません。
修正液や修正テープを使用して訂正すると、該当部分や遺言書全体が無効になる可能性があります。
正しい訂正方法は、間違えた箇所に二重線を引き、その上から訂正印を押します。
さらに、欄外に訂正内容を記載し、署名と押印を行わなければいけません。
この方法により、訂正が遺言者本人によって行われたことが明確になります。
修正液や修正テープを使用すると、後から内容が書き換えられた疑いが生じる可能性があります。
遺言書を作成する時は、適切な方法で行うようにしてください。
複数人で遺言書が作成されている
遺言書は個人の意思表示であるため、複数人での共同作成はできません。
例えば、夫婦が一通の遺言書に連名で署名した場合、無効になります。
これは、遺言者それぞれの意思を明確に区別し、個別の遺言として扱う必要があるためです。
また、複数人で作成された遺言書は、遺言者の1人が亡くなった後も他の遺言者が生存している場合、相続上のトラブルを引き起こす可能性があります。
遺言書は必ず個人単位で作成し、それぞれの遺言者が独立した遺言書を作成すべきです。
複数人の意思を反映させたい場合は、個別に遺言書を作成しなければいけません。
遺言能力が欠けている
遺言能力とは、遺言内容を理解し、結果を判断する能力を指します。
遺言者が遺言書を作成した時点で遺言能力を欠いていた場合、その遺言書は無効です。
遺言能力の欠如は、認知症や精神障害などにより、正常な判断ができない状態にあった場合に認められます。
遺言能力の有無は、医療記録や日常の言動など、多角的な観点から判断されるのが一般的です。
遺言能力が疑われる場合は、医師の診断書を取得しておきましょう。
また、公正証書遺言の場合、公証人が遺言者の遺言能力を確認しますが、後に遺言能力の有無が争われる可能性があります。
遺言書を作成する時は、遺言者の判断能力が十分か確認しておきましょう。
新しい日付の遺言書がある
遺言書は、最新のものが有効です。
新しい日付の遺言書が見つかった場合、それ以前に作成された遺言書は無効になります。
新しい遺言書で、以前の遺言はすべて撤回すると明記されている場合、それ以前の遺言書はすべて無効です。
ただし、新旧の遺言書の内容が矛盾しない場合は、両方の遺言書が有効となる可能性もあります。
遺言書を作成する際は、過去に作成した内容を確認し、必要に応じて明確に撤回する旨を記載しなければいけません。
また、保管場所を家族に伝え、最新の遺言書が確実に見つかるようにしておくことも大切です。
公序良俗に反した内容が記載されている
遺言書の内容が公序良俗に反する場合、その部分は無効となります。
公序良俗とは、社会の一般的な道徳観念や秩序を指します。
例えば、違法行為を助長するような内容や、極端に不公平な財産分配を指示するような内容が含まれる場合です。
具体的なケースでいうと、愛人に全財産を譲るといった道徳的に認められない内容や、特定の相続人を不当に差別するような内容などが挙げられます。
公序良俗に反するかどうかの判断は、社会通念に基づいて行われます。
遺言書を作成する時には、その内容が社会的に受け入れられるものか、十分に検討しなければいけません。
疑問がある場合は、専門家に相談しましょう。
第三者によって書かされた遺言書である
遺言書は、遺言者の自由な意思に基づいて作成されなければいけません。
したがって、第三者の強制や脅迫によって書かされた遺言書は無効です。
例えば、家族や第三者による圧力や脅迫があった場合、遺言書の無効が主張される場合があります。
また、遺言者の判断能力が低下している状況で、周囲の人間が自分に有利な内容の遺言書を作成させた場合も、無効になる可能性があるでしょう。
作成過程で遺言者の普段の意思と大きく異なる内容や、突然の遺言内容の変更などがあった場合、第三者の影響が疑われる可能性があります。
作成時に適さない証人が立ち会っていた(公正証書遺言・秘密証書遺言)
公正証書遺言や秘密証書遺言の作成時には、証人の立ち会いが必要です。
しかし、証人として適さない人が立ち会っていた場合、遺言書は無効となる可能性があります。
不適格な証人とされるのは、以下の通りです。
- 未成年者
- 相続人やその配偶者
- 公証人の親族
- 公証役場の職員
これらの人々は、遺言内容に利害関係を持つ可能性があるため、証人としての適格性が認められません。
また、公正証書遺言の場合は、2人以上の証人が必要です。
証人の選定には、遺言者と利害関係のない第三者を選ぶのが望ましいでしょう。
このように、遺言書を作成する時には、証人の適格性を確認しなければいけません。
適切な人物の選定を徹底してください。
遺言書の内容が不明確
遺言書の内容が不明確な場合、遺言の該当部分のみが無効となり、他の部分が有効と判断されることがあります。
不明確な内容とは、遺産の分割方法が具体的に示されていない、特定の財産が複数の相続人に同時に遺されているなどの状況を指します。
具体的には、預金口座を相続させる際に、銀行名や口座番号が明記されていない、不動産を相続させる際に物件の所在地や登記情報が不明確な場合などです。
また、遺言の文言が曖昧で解釈が分かれる場合も、有効性が問題になる可能性があります。
例えば、『長男に相応の財産を与える』といった表現は、具体的な金額や財産が特定されていないため、解釈をめぐって争いが生じる可能性があります。
加えて、遺言者の意思が矛盾している場合も、遺言の効力が否定される可能性があるでしょう。
遺言書を作成する時には、財産の特定や分配方法を明確に記載し、誤解の余地がないよう徹底すべきです。
専門家のアドバイスを受けながら作成すれば、確実な遺言書を残せます。
遺言書が無効になったら?
ここでは、遺言書が無効になった場合について詳しく解説します。
一部が無効になった場合
遺言書の一部が無効になった場合は、残りの有効部分のみが法的効力を持ちます。
例えば、遺言書の中で特定の財産の相続について記載された部分が無効となった場合、財産に関しては法定相続分に従って分割されます。
一方、他の有効な部分は遺言内容が尊重されるのが一般的です。
このような状況では、無効となった部分と有効な部分を明確に区別し、それぞれに適切な対応をとらなければいけません。
無効となった部分は、相続人間で協議を行い、新たな分割方法を決定する必要があります。
全部が無効になった場合
遺言書が全部無効になった場合、相続は法定相続分に基づいて行われます。
遺言者の意思は反映されず、民法で定められた相続分に従って遺産が分割されるのが一般的です。
すべてが無効になる主な原因は、遺言能力の欠如や遺言書の形式不備などが挙げられます。
また、相続人は改めて遺産分割協議を行わなければいけません。
この協議では、法定相続分を基準としつつ、各相続人の事情や遺産の性質を考慮して分割方法を決定します。
協議が難航する場合は、家庭裁判所による調停や審判を申し立てることも可能です。
遺言書を無効にされないためのポイント
ここでは、遺言書を無効にされないためのポイントを解説します。
公正証書遺言を作成する
公正証書遺言は、遺言書の無効リスクを軽減できます。
公証人の立会いのもと作成されるため、法的要件を満たしているかが厳密にチェックされるのが特徴です。
また、遺言者の遺言能力も確認されるため、後日能力が争われるリスクも低くなります。
原本が公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配もありません。
遺産分割協議で相続人が納得する分割方法を検討する
遺言書の内容について、事前に相続人と話し合いを持つことは、後の争いを防ぐためにも有効です。
相続人の意見や希望を聞き、考慮した遺言内容を作成すれば、無効になるリスクを減らせます。
ただし、あくまで遺言者の意思を尊重しなければいけません。
相続人全員が納得できる分割方法を検討すると、遺言書の内容が公平であると認識され、無効主張のリスクが低くなります。
専門家へ遺言書の書き方を相談する
専門家への相談は、無効リスクを大幅に減らせる可能性が高いです。
弁護士や司法書士などは、遺言書の形式や内容が法的要件を満たしているかを確認し、適切なアドバイスを提供してくれます。
遺言者の意思を正確に反映させつつ、法的に有効な文言で遺言書を作成する手助けをしてくれるでしょう。
また、相続税や不動産登記など、関連する法的問題についても助言を得られます。
自筆証書遺言書保管制度の活用
自筆証書遺言書保管制度は、2020年7月から始まった新制度です。
遺言書の紛失や、改ざんのリスクを減らす効果があります。
法務局で遺言書を保管してもらえるため、安全に保管できるのが特徴です。
さらに、形式的なチェックも行われるため、無効になるリスクが低くなります。
また、遺言者の死後に相続人が法務局で確認できるため、遺言書の存在が確実に相続人に伝わります。
ただし、利用には手続きと費用が必要なほか、保管後の訂正や撤回には制限がある点に注意しなければいけません。
まとめ
遺言書が無効になるケースは、日付の記載漏れや署名・押印の不備、遺言能力の欠如など、さまざまです。
これらのリスクを回避するには、法律要件の理解と慎重な作成が欠かせません。
公正証書遺言の活用、専門家への相談、自筆証書遺言書保管制度の利用など、効果を期待できる対策を講じれば、有効性を高められます。
適切な準備と対策を実施し、遺言者の意思を確実に伝え、円滑な相続を実現しましょう。
兵庫・姫路密着で多数の相談実績を持つ弁護士法人ひいらぎ法律事務所では、豊富な専門知識を持つ弁護士が無効にならない遺言書の作成についてアドバイス可能です。
大切な財産を家族に引継ぎたいものの、正しい遺言書の作成方法が分からないという方は、ぜひお気軽にご相談ください。
最終更新日 2025年3月31日