遺言書(自筆証書遺言)の書き方ガイド | 準備・正しい書き方・具体例を解説

最終更新日 2025年3月31日
遺言書の書き方に悩んでいませんか。
相続問題で家族が争うニュースを目にすると、自分の家族も大丈夫だろうかと不安になるかもしれません。
遺言書を残すと多くの相続トラブルを未然に防げます。
しかし、正しく書かなければ無効になってしまう可能性があるため注意が必要です。
この記事では、遺言書(自筆証書遺言)の正しい書き方を詳しく解説します。
遺言書の種類や特徴、準備の仕方、具体的な文例を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
それぞれを理解すれば、自信を持って遺言書を作成できるようになるでしょう。
遺言書(自筆証書遺言)を正しく書くメリット
ここでは、遺言書(自筆証書遺言)を正しく書くメリットを詳しく解説します。
相続トラブルを防げる
遺言書を適切に作成すると、相続トラブルを予防できます。
特に、遺産分割の方法や割合を明確に指定すれば、相続人間の争いを未然に防ぐことが可能です。
また、遺言書があると、相続人全員が故人の意思を尊重しやすくなります。
これにより、家族間の不和を避け、円滑な相続手続きを進められます。
遺産配分を決められる
遺言書を作成すると、自分の意思通りに遺産を配分できます。
法定相続分にとらわれず、各相続人の状況や貢献度に応じて、遺産を柔軟に分配可能です。
たとえば、介護してくれた子供に多く相続させたり、経済的に困っている相続人に配慮したりできます。
これにより、公平性を保ちつつも、個々の事情に応じた遺産分割が可能です。
法定相続人以外に遺産を渡せる
遺言書を作成すると、法定相続人以外の人にも遺産を渡せます。
たとえば、事実婚のパートナーや、お世話になった友人、支援したい団体などに遺産を贈ることが可能です。
法律上の制限にとらわれず、自分の思いを形にできるでしょう。
このように、遺言書は大切な人や社会貢献活動に財産を残したい場合に有効な手段です。
相続手続きが楽になる
遺言書を作成しておくと、相続手続きを大幅に簡素化できます。
相続人間の話し合いにかかる時間と労力が削減され、相続登記などの手続きもスムーズに進められます。
これにより、遺族の精神的・経済的負担を軽減し、故人の遺志を迅速に実現できるでしょう。
遺言書を書く前に知っておきたい種類と特徴
ここでは、遺言書を書く前に知っておきたい種類と特徴を詳しく解説します。
自筆証書遺言
自筆証書遺言は、以下の条件を満たしている遺言書です。
- 遺言者自身が全文を自筆で書いている
- 日付と氏名を記入している
- 押印がある
自筆証書遺言は手軽に作成でき、費用がかかりません。
しかし、法律で定められた方式を守らないと、無効になる可能性があります。
また、相続開始後に家庭裁判所での検認手続きが必要です。
2020年7月10日から、法務局による自筆証書遺言の保管制度が開始されました。
公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人の面前で作成する遺言書です。
公証人が内容を確認し、2名以上の証人の立ち会いのもとで作成されます。
特徴は法的効力が高く、偽造や変造のリスクが低い点です。
また、検認手続きが不要なため、相続手続きがスムーズに進みます。
ただし、作成には費用がかかるうえに、証人が2名以上必要です。
したがって、プライバシーの面で懸念があるケースもあります。
秘密証書遺言
秘密証書遺言は、遺言者が作成した遺言書を封筒に入れ、公証人と2人以上の証人の前で封をする遺言書です。
内容を秘密にできるのが特徴ですが、作成手続きが複雑で、相続開始後に家庭裁判所での検認手続きを行わなければいけません。
また、方式に厳格な要件があり、満たさないと無効になる可能性が高く、あまり一般的ではありません。
遺言書を書く前の準備
ここでは、遺言書を書く前の準備を詳しく解説します。
相続財産をリストアップ
相続財産のリストアップは、遺言書を作成するための第一歩です。
相続財産のリストを作成すれば、遺産の全体像が明確になります。
適切な分配計画を立てるためには欠かせません。
また、財産は多岐にわたります。
- 不動産
- 預貯金
- 有価証券
- 生命保険
- 貴金属
- 美術品
不動産は、登記簿謄本で正確な情報を確認しましょう。
預貯金や有価証券は、最新の残高や評価額を調べます。借金がある場合も忘れずに記載してください。
相続人の確認
相続人の把握は、遺言書作成の準備をするうえで欠かせないステップです。
法定相続人には、配偶者、子、父母、兄弟姉妹などが含まれます。
戸籍謄本を取り寄せて、相続人の範囲と続柄を確認しましょう。
特に、養子縁組や離婚歴がある場合は注意が必要です。
また、相続人の現在の状況(健康状態、経済状況など)も考慮すると、より公平で適切な遺産分配ができます。
分配方針の決定
遺産における分配方針の決定は、遺言書作成の核心部分です。
法定相続分を基準にするか、それとも独自の基準で分配するかを検討します。
考慮すべき部分は、以下の通りです。
- 各相続人の生活状況
- 介護の有無
- 事業承継の必要性
また、特定の財産を特定の相続人に相続させたい場合も、ここで決定します。
公平性を保ちつつ、自分の思いを反映させた分配方針を立てましょう。
遺言執行者の決定
遺言執行者は、遺言内容を確実に実行する役割を担う人物で、複数の指名が可能です。
主な候補は、以下の通りです。
- 家族
- 親族
- 弁護士や司法書士などの専門家
遺言執行者は、遺産の管理や分配、各種手続きを行うため、信頼できる人を選びましょう。
ただし、未成年者や破産者を指定することはできません。
付言事項に書く相続理由を決める
付言事項は、遺言内容の補足を説明する部分です。
相続の理由や遺言者の思いを記すと、遺言の意図がより明確になります。
たとえば、特定の相続人に多くの遺産を残す理由や、法定相続人以外の人に遺贈する背景などを説明できます。
また、葬儀や墓の管理に関する希望も記述が可能です。
これらの付言事項により、相続人の理解を深め、遺言の円滑な執行を促せます。
遺言書の種類を決める
遺言書を作成する際は、適切な種類を選びましょう。
主に、以下のいずれかを選択します。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
自筆証書遺言は手軽ですが、方式に注意が必要です。
公正証書遺言は確実ですが、費用がかかります。秘密証書遺言は内容を秘密にできますが、手続きが複雑です。
種類は自分の状況や希望に合わせて、最適なものを選びましょう。
必要に応じて専門家に相談し、適切な判断をするべきです。
自筆証書遺言の正しい書き方
ここでは、自筆証書遺言の正しい書き方を詳しく解説します。
自筆証書遺言の要件
自筆証書遺言の要件は、民法で厳格に定められています。
まずは、遺言者本人が全文を自筆で書かなければいけません。
パソコンやワープロの使用は認められていないため、注意が必要です。
次に、作成した日付を正確に記入します。令和〇年〇月〇日のように具体的な日付を書きましょう。
そして、遺言者の氏名を自署し、押印します。
これらの要件をひとつでも欠くと、遺言書が無効になる可能性があるため注意してください。
自筆証書遺言の様式
自筆証書遺言の様式は、特に決まっていません。しかし、一般的な構成はあります。
まずは、遺言書というタイトルを付け、前文で遺言の趣旨を述べます。
本文では、相続財産の内容と相続人への配分を明確に記しましょう。
不動産は登記簿どおりの表記で、預金は金融機関名と口座番号を記載します。
最後に日付、氏名、押印を忘れずに記してください。
また、複数ページになる場合は、各ページに署名押印し、通し番号を付けるとよいでしょう。
状況ごとの遺言書の例文
ここでは、状況ごとの遺言書の例文を詳しく解説します(なお、実際に使う際は、間違いのないよう、必ず弁護士など法律の専門家にご確認ください。)。
配偶者(夫や妻)に財産を相続させたいとき
配偶者に財産を相続させる場合の遺言書例文は、以下の通りです。
私は、以下の通り遺言します。
令和○年○月○日 |
例文は、全財産を配偶者に相続させる意思を明確に示した内容です。
遺言執行者も指定し、確実な遺言の実行を図っています。
兄弟姉妹に財産を相続させたいとき
兄弟姉妹に財産を相続させる場合の遺言書例文は、以下の通りです。
私は、以下の通り遺言します。
令和○年○月○日 |
この例文では、預金と不動産を兄弟姉妹に分けて相続させる意思を明確に示しています。
財産の特定と、相続人の指定を正確に行っているのがポイントです。
未成年の子どもに相続させたいとき
未成年の子どもに財産を相続させる場合は、特別な配慮が必要です。
私は、以下の通り遺言します。
令和○年○月○日 |
この例文は、子どもが成年になるまでの財産管理者を指定し、権限も明記した内容です。
つまり、子どもの将来を考慮した内容になっています。
法定相続人以外に財産を相続させたいとき
法定相続人以外に財産を相続させる場合の遺言書例文は、以下の通りです。
私は、以下の通り遺言します。
令和○年○月○日 |
この例文では、友人への遺贈や美術館への寄贈を明記しています。
法定相続人以外への財産移転を、明確に示すのがポイントです。
預金を相続させたいとき
預金を相続させる場合の遺言書例文は、以下の通りです。
私は、以下の通り遺言します。
令和○年○月○日 |
この例文では、各預金口座を特定し、それぞれの相続人を明確に指定しています。
ポイントは、口座情報を正確に記載する点です。
株式を相続させたいとき
株式を相続させる場合の遺言書例文は、以下の通りです。
私は、以下の通り遺言します。
令和○年○月○日 |
この例では、特定の株式を指定して相続人に配分しています。
株式の銘柄と株数を、正確に記載するのがポイントです。
まとめ
遺言書、特に自筆証書遺言の作成は、相続トラブルを防ぎ、自分の意思を確実に伝えるうえで欠かせません。
正しい書き方を理解し、適切な準備を行えば、法的に有効で明確な遺言書を作成できます。
しかし、相続に関する法律は想像以上に複雑で、税務上の影響も考慮しなければいけません。
そのため、遺言書作成の際は、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士法人ひいらぎ法律事務所では、豊富な経験と専門知識を持つ弁護士が、あなたの状況に合わせた最適な遺言書作成をサポートいたします。
大切な財産を確実に引き継ぎ、家族の未来を守るためにも、ぜひご相談ください。
最終更新日 2025年3月31日