遺言執行者の職務の流れ

最終更新日 2025年3月31日
- 遺言に遺言執行者が指定されていた
- 遺言執行者は、どのような流れで職務を行うのだろうか?
ここでは、遺言執行者の職務の流れについてご説明します。
遺言執行者とは
遺言内容を実現させる役目の人を「遺言執行者」といいます。
遺言執行者の選任については、以下のように規定されています。
“遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる”(民法第1010条)。
遺言執行者の職務内容
では、遺言執行者は、遺言者が死亡するとどのように職務を遂行するのでしょうか。
それは以下のとおりです。
①遺言執行者就任承諾と相続人に対して遺言書(写し)と就任した旨の通知を送付します。
↓
②相続財産の調査・財産目録作成
遺言執行者は、財産目録を作成するために相続財産を調査します。
↓
③相続人へ財産目録の交付
作成した財産目録を相続人に交付します。
↓
④遺言に記載された内容を実現する手続き
預貯金・不動産・有価証券(株式等)を遺言で指定された人に承継させるための手続きなどを行います。
また、遺言でできることは財産に関することだけではありませんから、遺言にその他のことが記載されている場合にはその手続きも行います。
一例を挙げますと、被相続人は生前に虐待などをした者を相続人から除外する請求を裁判所に対して行うことができます。
これを「廃除」といいますが、廃除は遺言でも行うことができます。
遺言で廃除した場合には自分で裁判所に請求することができませんので、遺言執行者がこれを行います。
また、婚外子の認知も遺言ですることができます。
遺言による子の認知の届出等の手続きも遺言執行者の職務になります。
↓
⑤完了報告
遺言内容の手続きがすべて完了すると、相続人に遺言執行者の職務を完了した旨を報告し遺言執行を終了します。
遺言執行業務は、遺言の中で遺言執行者への報酬を定めることもできますし、定められていない場合は相続人との話し合いで決定することもできます。
話し合いがまとまらない場合や家庭裁判所で選任された遺言執行者は報酬付与の申し立てを家庭裁判所に行うことができます。
家庭裁判所で報酬を決定する場合は、相続財産の額・遺言執行の内容などを考慮して決定されます。
報酬は相続財産の中から支弁することになります。
不動産登記の取り扱い変更点
遺言で被相続人名義の不動産を遺贈した場合には、遺言執行者がいる場合は遺言執行者と譲り受ける人が共同で登記申請を行うことになり、どちらか片方だけでは登記申請ができません。
遺言執行者が選任されていない場合にも登記申請はできますが、その場合は譲る側の申請人は相続人全員が関与しなければなりません。
このことは以前も現在も変わりません。
これと比較して、遺言で相続人のうちの誰かに不動産を承継させるとした場合には遺贈の登記ではなく「相続」の登記を申請します。
相続登記申請の当事者は、不動産を承継する相続人だけで行います。
ですから、遺言執行者が関与する余地がなかったわけです。
ところが令和元年7月1日に施行された民法の改正を受けてこの取り扱いが変更されました。
(民法第1014条第2項)
遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第899条の2第1項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。
→後半部分「共同相続人が第899条の2第1項に規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる」において、相続人が遺言の内容に従って対抗要件を備えるために必要な行為ができることが明記されました。
「対抗要件」とは、不動産の場合は登記名義を取得することを指します。
第三者から所有権を主張された場合に自分が所有者であることを主張する方法を対抗要件といいます。
すなわち、相続登記の申請を遺言執行者がしてもよい、ということが民法の中で新たに追加されたわけです。
ただし、この取り扱いは改正法の施行日である令和元年7月1日以降に開始した相続についてのみ適用されますから、それ以前の相続については従来通り不動産名義を取得する相続人が自分で登記申請をする必要があります。
まとめ
今回は、遺言執行者の職務の流れについて解説しました。
遺言を書かれる際に遺言執行者を誰にするか、あるいはその報酬をどのように定めるかを悩まれている場合は弁護士に相談されることをおすすめします。
最終更新日 2025年3月31日