相続放棄とは?期限や手続方法と7つの注意点を解説

最終更新日 2024年7月6日
相続財産のうち、借金などのマイナス財産が明らかに多い場合やそもそも相続関係に関与したくない場合などは相続人の地位を離脱することができます。
これを相続放棄といいます。
よく誤解されているのは、遺産分割協議をしてそこでプラスの財産を承継しないと意思表示したことを「相続放棄をした」と思われている方がおられますが、それは相続放棄ではありません。
つまり、遺産分割協議で何も承継しないことになった後で被相続人の債権者から借金の返済を求められた場合に相続放棄をしたと主張しても返済を免れることはできません。
そこで、相続関係からは一切離脱し仮にどこからなんらかの請求が来ても拒否できる根拠、それが「相続放棄」です。相続放棄は家庭裁判所で手続きを行います。
ここでは、相続放棄の起源や手続き方法、注意点について解説します。
相続放棄の手順
①申述書の記入
家庭裁判所で用紙をもらうこともできますし、裁判所ホームページで提供されている様式をプリントアウトして記入します。
財産額を記載する欄は正確にわからない場合には「不明」と記載すればよいです。
申述書に押印する印鑑は認印で構いません。
②必要書類の用意
被相続人にとって申述人(相続放棄する人)がどの続柄かによって必要となる公的書類が異なりますが、戸籍謄本については申述人が被相続人の法定相続人であることの繋がりが証明できるものを添付します。
被相続人が親で申述人が子であれば、被相続人の最後の戸籍謄本と申述人自身の戸籍謄本があれば証明できます。
しかし、逆に被相続人が子で申述人が親である場合には、被相続人に子がいないことを証明しないと第2順位の親が相続人になることはありませんから、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を集めなければなりません。
また、さらに被相続人の兄弟姉妹が申述人になる場合には、被相続人に子がおらず、第2順位の両親・祖父母がすでに亡くなっているから第3順位の兄弟姉妹が相続人になっていることを証明しなければなりません。
ということは、被相続人の出生から死亡までの戸籍すべて、被相続人の両親と祖父母の死亡の記載がある戸籍謄本、申述人の戸籍謄本が必要となります。
戸籍謄本以外の公的書類は、被相続人の住民票の除票または戸籍の附票が必要となります。
なお、戸籍の原本を返却してもらいたい場合は、コピーを取り下記の還付申請書を記入して一緒に提出します。
③収入印紙と予納切手の購入
収入印紙は800円分購入して申述書の印紙貼付欄に貼ります。
予納切手は貼らずに同封します。
84円切手を5枚としている家庭裁判所が多いかと思いますが、多少異なるケースがありますので、事前に管轄の家庭裁判所に電話して確認しましょう。
④提出
管轄の家庭裁判所は「被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所」です。
よくわからなければ、最寄りの家庭裁判所に問い合わせれば、教えてもらえます。
管轄の家庭裁判所に直接持参してもよいですし、郵送しても構いません。
⑤照会書の提出
申述書の提出をすると裁判所から「照会書」が送られてきます。
これは質問が記載された用紙で、尋ねられている質問事項に正直に回答して返送します。
不要と判断されたケースでは照会書が送られてこない場合もあります。
⑥相続放棄申述受理通知書
照会書を返送した後、特に問題ないと判断されると、しばらくして「相続放棄申述受理通知書」が送られてきます。
これで相続放棄の手続きが終了です。
その後「相続放棄受理証明書」が必要な場合には1通150円で発行してもらうことができます。
相続放棄したことを証明するには、相続放棄申述受理通知書では足りず証明書の提出を要する場合があります。
申請書様式は裁判所のサイトなどをご参照ください。
相続放棄の7つの注意点
1.期限
相続放棄はいつまでもできるわけではなく、
「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」にしなければなりません。
一般的には死亡に立ち会ったり、死亡の知らせがきた日から3か月であることが多いと思いますが、先順位が相続放棄したことにより自分に相続の順番が回ってきたような場合には、先順位が相続放棄をしたことを知った日から3か月ということになるでしょう。
ただし、相続財産を自己のために消費したり、相続財産を隠匿したりしたような場合はもはや相続放棄をすることができなくなります。
2.相続放棄できるのは相続開始後のみ
相続開始前に相続は放棄するなどの誓約書などを書いていたとしても、法的な効力はありません。
被相続人の生前には相続放棄ができません。
3.相続人がいなくなる場合
被相続人に債務が多く相続人の全員が相続放棄をするケースがあります。
この場合には、最後の順位にあたる相続人に相続放棄が認められた時点で相続人は誰もいなくなります。
そうなると相続財産は宙に浮くことになりますが、プラスの財産は国庫に帰属しマイナス財産は消滅します。
4.相続財産管理人の選任
相続放棄すると「はじめから相続人ではなかった」ことになります。
ただ、実際には管理していた財産がある場合には次順位の相続人などの相続人が確定し、財産を引き継ぐまでは管理義務があります。
相続人全員が相続放棄したことにより相続財産を管理する者がいない場合は相続財産を引き継ぐべき相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てます。
5.相続放棄と代襲相続
被相続人が死亡した場合にはその子供が相続人となるところ、子供が被相続人よりも先に死亡しているケースがあります。
この場合に子供にさらに子供(被相続人の孫)がいる場合にはその子供(孫)が相続人となります。
これを代襲相続といい、被相続人の子の地位で孫が相続人の地位になることを意味します。
この場合に、被相続人の子が相続放棄している場合にはその子は、はじめから相続人でなかったことになります。
となれば、はじめから相続人でなかった子のさらにその子供(孫)は当然相続人にはなり得ませんから、相続放棄の場合には代襲相続は起こりません。
6.生命保険と相続放棄の関係
生命保険は契約の際に指定受取人を定めます。
この場合は保険対象者の死亡とともに指定受取人に直接に死亡保険金が支払われます。
すなわち、死亡した人の財産となる余地がなく、指定受取人が固有財産として受け取るため死亡保険金は相続財産になりません。
指定受取人が相続放棄をしていた場合でも、固有財産である以上相続放棄とは関係なく死亡保険金の受け取りができます。
7.積立保険金の解約返戻金
被相続人が生前に積立保険をしており、死亡を原因として解約となって、解約返戻金が支払われる場合には、上記6の場合と異なり被相続人に返戻されるものですから相続財産になります。
受け取って自己のために消費してしまうと、相続財産に着手したことになり、もはや相続放棄ができなくなりますから注意が必要です。
最終更新日 2024年7月6日