相続に関する弁護士費用はどれくらい?依頼する事務所を選ぶポイントも解説

最終更新日 2025年4月22日
相続や遺産分割を行うにあたって、弁護士への相談や依頼を検討している方もいらっしゃるでしょう。
相続や遺産分割にかかる弁護士費用は、手続の内容や遺産の状態などによって大きく変わります。
また、複雑な相続の問題を弁護士に依頼する場合は、費用だけでなく弁護士事務所の信頼性や実績なども重要です。
この記事では、相続に関する弁護士費用の一般的な相場や、相続の問題で弁護士事務所を選ぶポイントを紹介します。
相続に関する弁護士費用の内訳
相続に関するトラブル対応や手続を弁護士に依頼する場合は弁護士費用がかかります。
現在、弁護士費用は自由化されています。
ここでは、相続に関する一般的な弁護士費用の内訳を紹介します。
法律相談料
法律相談料は弁護士に法律相談をする際にかかる費用で、相続に関することだと30分5,000円〜10,000円が相場です。
ただし、初回相談料無料にしている弁護士事務所であれば、初回の相談料を抑えることができます。
無料相談には時間が定められているのが一般的であるため、事前に相談できる時間を確認しておきましょう。
法律相談では、問題解決の方向性や見通しを弁護士と話し合い、依頼する場合の費用の見積もりを受けることもできます。
法律相談については相談時間が長くなると、それだけ費用も大きくなるため、相談内容や質問事項を事前にまとめておきましょう。
また、効率的に相談できるように質問の優先順位をあらかじめ決めておくことも効果的です。
着手金
相続問題を弁護士に依頼する場合の着手金は、事案によって異なりますが、20万円〜50万円が相場です。
着手金は、実際に弁護士に依頼するときに支払う費用であり、依頼人が希望した通りの結果にならなくても発生します。
着手金は依頼が成立した場合に支払い、弁護士は依頼主から着手金を受け取ってから活動を開始します。
中には、着手金を最初に支払うのではなく、固定報酬と成功報酬を後から一括で支払う法律事務所もあるため、相談時に確認しておくとよいでしょう。
着手金は基本的に一括払いで払いますが、分割払いが可能なケースもあります。
報酬金
報酬金とは相続時の解決後に発生する費用で、交渉や調停、裁判で獲得した経済的利益に対して、10~20%の割合で決まることが多いですが、固定額の場合もあります。
経済的利益は弁護士に依頼した結果、依頼主が得る利益のことであり、弁護士に依頼しても問題が解決しなければ報酬金は発生しない仕組みです。
たとえば、相続人同士でトラブルが起こっている遺産分割協議について、弁護士に解決を依頼したとします。
弁護士に依頼することで、依頼主が1,000万円の遺産を相続することになった場合、この1,000万円が経済的利益になるというわけです。
経済的利益の額の算出方法は法律事務所によって異なるため、依頼前には料金形態について詳しく聞いておく必要があります。
実費
実費とは、相続問題の依頼案件を進めていくにあたって実際にかかる費用のことで、具体的な費用は依頼内容によって変わってきます。
実費に当てはまるのは、法務局での登記事項証明書の取得や金融機関における残高証明書の発行、郵便代、コピー代、各種機関への照会費用などです。
他にも、弁護士の交通費や宿泊費、不動産の評価額の査定費用なども該当します。
実費は、弁護士に依頼せずに自分で手続を進めていても基本的にかかる費用です。
日当
日当とは、弁護士が相続問題を解決するにあたって事務所の外に移動し、一定時間拘束される際に支払われる費用です。
たとえば、裁判所に出廷する際や、遠方に出張する必要がある場合に支払われる費用になります。
具体的な費用は拘束時間によって大きく変わってくるため、案件ごとに異なります。
弁護士事務所によっては、日当を着手金に含めているケースもあるため、事前に料金形態を確認しておくことが大切です。
相続にかかる弁護士費用の依頼別の相場
相続にかかる弁護士費用の相場は依頼内容によって異なります。
ここでは、相続にかかる弁護士費用の依頼別の相場を紹介します。
遺産分割の交渉
遺産分割の交渉や調停・審判にかかる弁護士費用の相場は、着手金20万円〜50万円程度と、成果に応じた報酬金がかかるのが一般的です。
遺産分割交渉とは、相続人同士で遺産を分割する方法を話し合うことです。
弁護士は、遺産分割の代理人として、遺産分割の割合や適切な分け方をアドバイスし、依頼者の利益を確保することを目的に交渉します。
なお、遺産分割交渉の方法として書面で請求する簡易プランを設けている弁護士事務所もあり、大きな争いがなければ書面請求だけで解決する可能性も高いです。
遺言書作成
遺言書の作成を弁護士に依頼する場合にかかる費用相場は10万円〜50万円です。
一般的には10万円〜20万円ほどで依頼できるケースが多いですが、遺言書の内容や複雑で財産が多い場合、不動産が遠方にある場合は費用がかかります。
遺言書には厳格なルールがあり、自分で作成すると不備が発生し、遺言書が無効になってしまうリスクがあります。
弁護士に依頼すると法律に基づき、正しいルールで遺言書の作成ができるため、不備によって遺言書が無効になるリスクを回避できるでしょう。
また、遺言書がもとで相続トラブルケースになる場合もありますが、弁護士に依頼すると財産調査を行ったうえで財産目録を作成します。
弁護士はトラブル防止の具体案も検討してくれるため、死後にトラブルが起こりにくいこともメリットです。
遺言執行
遺言執行にかかる費用は、30万円〜100万円で別途成功報酬が発生する場合もあります。
遺言執行を依頼した際にかかる費用は、遺産の〇%+〇万円という形で設定されている場合が多く、遺産の割合によって費用も大きく異なります。
遺言執行とは、遺言者が亡くなった際に遺言の内容を実現するために行います。
基本的には遺言者の相続人が遺言執行者となって遺言の執行をしますが、相続人が多いと全員で協力して手続することは難しくなるでしょう。
そのようなとき、遺言執行を弁護士に依頼すると、トラブルを回避しながら手続をスムーズに進められます。
相続問題に強い弁護士事務所であれば、遺言書の作成から保管、執行までワンストップで依頼できることが多いです。
相続放棄
弁護士に相続放棄の依頼を行う場合の費用は5万円〜15万円が相場です。
相続放棄は相続の権利を放棄し、相続財産を一切受け取らない制度で、被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内に手続を行わなければなりません。
自分自身で手続を行うこともできますが、期間が定められていることや相続人同士のトラブルにつながる可能性もあります。
弁護士に依頼することで相続放棄の手続を代行してもらい、さらにトラブル防止やトラブル対応をしてもらえるメリットがあります。
遺言・生前贈与無効請求
遺言・生前贈与無効確認請求訴訟にかかる弁護士費用の相場は、着手金30万円〜60万円程度と、成果に応じた報酬金がかかるのが一般的です。
遺言・生前贈与無効請求は、遺言や生前贈与が無効であることを裁判所に認めてもらうために行う訴訟のことをいいます。
たとえば、遺言を残した人が遺言書を作成したときに認知症であった場合、詐欺や脅迫によって遺言書を書かされた可能性がある場合などです。
遺言の無効性を裁判所に認めてもらう要素を見つける必要があるため、訴訟には一定の時間がかかり、事案によって費用も大きく変わってきます。
遺留分侵害額請求
遺留分侵害額請求の交渉や調停、訴訟にかかる弁護士費用の相場は、着手金20万円〜50万円程度と、成果に応じた報酬金がかかるのが一般的です。
遺留分侵害額請求は不平等な遺言や贈与によって遺留分を侵害された法定相続人は、侵害した人への遺留分の取り戻し請求が可能です。
遺留分とは、遺留分制度によって、相続財産の一定割合を最低限相続できることが保障されている相続分のことをいいます。
被相続人には自分の財産を自由に処分できる権利がある一方、相続制度には遺族の生活保障や潜在的持分の清算としての機能もあります。
そのため、遺留分を侵害されている兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分を侵害している相続人に対して侵害額を請求できるというものです。
相続の問題で弁護士事務所を選ぶポイント
相続問題は複雑なケースも多いため、弁護士に依頼する場合は、弁護士事務所選びも重要なポイントになります。
ここでは、相続問題で弁護士事務所を選ぶポイントを紹介します。
相続問題に強みがある
相続問題を弁護士に依頼する場合は、相続問題に強みがあって実績があることが重要です。
弁護士にはそれぞれ得意分野があるため、全員が全員相続問題に対して実績があるとは限りません。
相続問題に関する相談や依頼を多く受けていて、実務経験が豊富であることがポイントになります。
相続問題に強みがあるかどうかは、各弁護士事務所のホームページの記載内容をチェックしましょう。
「相続案件をどれくらい扱っているか」「弁護士事務所の取扱い件数はどれくらいか」などを確認することをおすすめします。
また、担当する弁護士のこれまでの経験年数や実績が記載されている場合は、これもチェックして信頼性をチェックしておくとよいでしょう。
初回無料相談に対応している
相続問題は弁護士に依頼して解決までに長期化するケースも多いため、弁護士事務所との相性をチェックするためにも初回無料相談の活用をおすすめします。
弁護士事務所によっては初回の法律相談を無料にしているところもあり、大まかな費用や流れ、アドバイスを受けることができます。
その際に、「相談しやすい雰囲気の弁護士か」「弁護士の説明はわかりやすいか」などを確認しましょう。
無料相談をしたからといって費用が発生する正式な依頼を強要してくることもないため、まずは気軽に相談するのがよいでしょう。
ちなみに無料相談には時間が設けられているため、事前に相談内容をまとめておくとスムーズに相談できます。
また、無料相談の時間を過ぎてしまった場合は、別途料金が発生するため注意が必要です。
他業種とも連携している
相続問題を弁護士事務所に依頼する場合、司法書士や税理士などの他業種とも連携しているところを選ぶことをおすすめします。
他業種と連携している弁護士事務所であれば、相続問題をワンストップで解決でき、依頼主の負担も軽減されます。
たとえば、不動産を相続することになった場合、登記のプロである司法書士に依頼するとスムーズに手続を行うことが可能です。
また、相続には相続税という税金が発生するため、相続税の申告の際には税理士に相談したり、サポートを受けたりする場合があります。
相続に強みを持つ弁護士事務所は依頼者への負担を軽減するために、司法書士や税理士などの他業種とも連携している場合が多いです。
弁護士費用を細かく説明してくれる
相続問題を弁護士に依頼する場合は、費用を細かく説明してくれる弁護士事務所を選びましょう。
明朗会計で、費用が適正な弁護士を選ぶことが重要ですが、安すぎても高すぎても問題があります。
相場の範囲内で依頼できて、なおかつ相続問題に強みを持ち、費用についてもわかりやすく説明してくれる弁護士事務所だと安心です。
まとめ
この記事では、相続問題を弁護士に依頼する場合に、どのような費用が発生するかや相談内容ごとの相場を解説しました。
弁護士に相続問題を依頼する場合、相談料をはじめ、着手金や成功報酬、実費、日当などが発生します。
料金形態は弁護士事務所によって変わるため、これらの費用がどれくらいかかるか事前に相談しておくと安心です。
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最終更新日 2025年4月22日