5分でわかる、子どもなしの夫婦の相続はどうなるの?相続のルールをわかりやすく解説!
近時、少子化のためか、子どもがないご夫婦の相続が問題になることが増えてきたようです。
ここでは、子どもがないご夫婦のうち一方が亡くなった場合の相続について説明します。
相続人
民法では、遺産相続について相続人となる人とその割合が明確に定められています。
相続において配偶者は最も優遇されていますから「婚姻が継続しており」「相続開始時に存命」していれば必ず配偶者が相続人になります。
相続の順位は、配偶者は別格ですから、それ以外の血族に相続順位がつけられています。
順位は次のとおりです。
①子ども
↓子どもがいなければ(または全員相続放棄していれば)
②直系尊属(親・祖父母・曾祖父母)
↓全員死亡していれば(または全員相続放棄していれば)
③兄弟姉妹
この順番になります。
子どもがいないご夫婦の場合、上の②、③の話になります。
配偶者と第二順位の場合の相続分割合
配偶者 3分の2
直系尊属 3分の1
(直系尊属が複数存命であれば、3分の1を頭割りします)
配偶者と第三順位の場合の相続分割合
配偶者 4分の3
兄弟姉妹 4分の1
(兄弟姉妹が複数いれば、3分の1を頭割りします)
上記の通り、配偶者は相続順位とは別に扱われ、他の相続人よりも相続分割合は多く設定されているのです。
とはいえ、子供のいない夫婦であっても、すべての財産が配偶者に承継されるわけではありません。
第一順位の子供ならともかく第二順位、第三順位となった場合には配偶者に全財産を残したいという人も多いでしょう。
そこで、次は子どものいない夫婦が全財産を配偶者に承継させる方法についてみていくことにします。
遺言
遺言は、自分の財産を死後にどのように分配するかを書面で残すものです。
基本的には、死を効力発生時として遺言書に記載したとおりに遺産が分配されることになります。
どちらが先に亡くなるかはわかりませんから、夫婦がお互いに全財産を配偶者に承継させる内容の遺言を残すことがよいです。
ただし、同じ遺言書で2人が共同で記載すると無効になってしまいますから、それぞれが別の遺言書を作成しましょう。
なお、法定相続人のうち兄弟姉妹が相続人となる場合を除いて、各相続人には「遺留分」という権利が与えられています。
この遺留分は最低限保証された相続に関する権利です。
遺留分が侵害された場合、侵害された人は、侵害した人に対し、遺留分侵害額を請求することができます。
例えば、上記のように配偶者に全財産を承継させた場合には第二順位の直系尊属には相続すべき財産が残りませんから、後から最低保証された遺留分に相当する額は配偶者から取り戻すことができます。
第二順位は親や祖父母ですから、親子関係などがよほど拗れていなければ遺留分を問題にするケースがどれほど存在すかはわかりませんが、後で配偶者が請求されないようにする方法としては、遺言の中ですべての財産を配偶者に承継させる内容ではなく、遺留分に相当する額は第二順位にわたるようにすることです。
請求をするかしないかは、遺留分をもつ相続人の自由ですが、その可能性があることは認識しておいた方がよいでしょう。
第三順位の兄弟姉妹にはそもそも遺留分がありませんから、配偶者と兄弟姉妹が相続人となるケースで兄弟姉妹に自分の財産を承継させたくない場合は、遺言で全財産を配偶者に承継させる内容を記載することで解決します。
生前贈与
配偶者には、税金面においても優遇措置が取られています。
贈与税の基礎控除額は年間110万円となりますか「婚姻歴が20年以上の夫婦で」「居住用の不動産の贈与または居住用の不動産を取得する際の購入資金の援助」に対しては2000万円までが非課税となります。
したがって、基礎控除額と併せて2110万円までの不動産の贈与であれば贈与税が非課税となります。
配偶者に対する不動産の生前贈与を検討されている場合には、この規定をうまく利用するとよいでしょう。
まとめ
今回は、子どものいない夫婦の遺産相続について説明してきました。
夫婦で子どもがいない場合には、自分の亡き後の配偶者の生活は心配になることと思います。
今回説明した内容を確認いただき、なるべく早いうちに遺言作成をされるのがよいです。
遺言を作成される場合には、後からその効力を否定される恐れが極めて少ない公正証書遺言を作成されることをおすすめします。
最終更新日 2024年6月30日
最終更新日 2024年6月30日