異母兄弟や異父兄弟も相続できるのか?
父親や母親が再婚していると、異母兄弟や異父兄弟がいる場合があります。
では、父親や母親が亡くなった場合、異母兄弟や異父兄弟も遺産を相続できるでしょうか。
本記事では、異母兄弟や異父兄弟も相続できるのか、また、その場合の注意点についてご説明します。
異母兄弟(異父兄弟)とは?
異母兄弟(異父兄弟)とはどのようなものなのか、下記にまとめました。
名称 | 続柄 |
異母兄弟 | 父親が再婚して前婚でできた子と後婚でできた子 |
異父兄弟 | 母親が再婚して前婚でできた子と後婚でできた子 |
このほか、婚外でできた子(愛人との子など)との関係も親が片方異なる兄弟姉妹になります。
異母兄弟の相続分は?
片親が異なることにより相続分はどのような影響を受けるのでしょうか。
母親A、前婚の子B、後婚の子C・Dという相続関係を例にご説明します。
親が亡くなったとき
母親であるAが死亡した場合のB・C・Dの相続分は、等しい割合になります。
Aの配偶者が存命の場合は、B・C・Dはそれぞれ1/6ずつの相続分を有し、Aの配偶者がすでに死亡している場合は、B・C・Dはそれぞれ1/3ずつの相続分を有します。
兄弟が亡くなったとき
後婚の子であるCが亡くなった場合で、Cに子がおらず両親もすでに死亡している場合は兄弟姉妹の相続になります。
この場合には、DはCの完全な兄弟姉妹ですが、Bは半血兄弟姉妹となります。
半血兄弟姉妹の相続分は、完全な兄弟姉妹の半分となります。
比率や割合で表すと、Dの相続分とBの相続分は2:1となり、Cに配偶者がいる場合Bの相続分は1/12(1/4×1/3)、Dの相続分は2/12(1/4×2/3)となります。
Cに配偶者がいない場合はBが1/3、Dが2/3となります。
愛人の子どもがいた場合
前婚の子であるBが婚外でできた子である場合はどうなるのでしょう。
婚姻中にできた子を「嫡出子(ちゃくしゅつし)」といい、婚姻関係にない男女の間にできた子を「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」といいます。
ただし、母親とは分娩とともに法律上の親子関係が生じますが、父親とは認知しなければ法律上の親子関係そのものが生じません。
かつて嫡出子と非嫡出子の相続分は、2:1と異なる割合として民法に定められていました。
しかし憲法に違反しているとした判決が出され、平成25年12月5日に法改正がなされ、以後平等の割合で相続することができるようになりました。
適用されるのは平成25年9月5日以降に開始した相続となりますが、非嫡出子と嫡出子とは区別なく共通の親の財産を相続することができます。
すなわち、Bが婚外子であっても、B・C・Dはそれぞれ1/3ずつの相続分を有します。(Aの配偶者が存命の場合は、それぞれ1/6)
参考:民法第900条
- 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
- 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は各1/2とする。
- 配偶者及び直系尊属が相続人であるとき、配偶者の相続分は2/3とし、直系尊属の相続分は、1/3とする。
- 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるとき、配偶者の相続分は3/4とし、兄弟姉妹の相続分は、1/4とする。
直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるとき、各自の相続分は相等しいものとする。
ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の1/2とする。
異母兄弟との相続でトラブルにならないために
異母兄弟の相続関係は、関係性が薄い場合も多く、また時には心情的に穏やかでないケースもあります。
そのため、相続の話し合いをする際は感情的に話をするとまとまりにくくなります。
また、集まって話し合いをするのも難しいケースが多く、弁護士を通じて話し合いをすることもあります。
開始してしまった相続についてはなんとか話をまとめるしかありませんが、自己に片親の違う子がいる場合には、生前に遺言書を作成して将来のトラブルを避けるのがもっとも良い方法といえます。
おわりに
本記事では、片親が異なる異母(異父)兄弟姉妹の相続についてご説明しました。
異母(異父)兄弟姉妹であっても仲良く育ってきた場合もあれば、ほとんど会話をしたことのない兄弟姉妹関係もあると思います。
相続手続きには、心情面が影響して話し合いがまとまらないこともあり、その代表的なケースといえます。
トラブルを避けるための対策について検討されている場合は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。
最終更新日 2024年10月23日
最終更新日 2024年10月23日