最終更新日 2024年12月4日
ご相談
Xさん(50代、女性)は、幼いころ生き別れになった母が自筆証書遺言を残して亡くなり、唯一の相続人となりましたが、その遺言の内容が、多額の財産のうち一部しかXさんに相続させず、残りを相続人でないYら多数の親族らに遺贈するというものであり、Xさんの遺留分が侵害されたため、当事務所に相談しました。
当事務所の活動
当事務所は、遺産である不動産について、相続税評価額を0.8で割り戻す等の簡易な方法で評価したうえで、Yらそれぞれの遺留分侵害額を算出し、Yらに対し、遺留分侵害額請求を行いました。
すると、Yらのうち一部は、すんなり請求に応じましたが、それ以外の者は、数人ずつ弁護士を付け、遺留分侵害額を争う姿勢を示しました。
当事務所は、遺留分侵害額算定の合理性を説明しつつ、提訴を辞さないという姿勢で交渉しました。
活動の結果
その結果、Yら全員から、おおむね当初請求額どおり、遺留分侵害額を回収することができました。
Yらが多数のため、少し時間がかかりましたが、Xさんは、遺留分を確保することができ、ほっとしておられる様子でした。
解決のポイント
2018年の民法改正により、2019年7月1日以降に発生した相続については、遺留分を侵害された者が、侵害者に対し、遺留分侵害額請求の意思表示を行うと、遺留分侵害額に相当する金銭請求権が発生することになりました。
その結果、本件のように侵害者が多数の場合、遺留分侵害額請求権は、各侵害者に対する別個の権利となりました。
ただ、各侵害者に対する請求内容が異なると、各侵害者間の情報のやりとりにより、交渉が紛糾するおそれがありました。
本件では、不動産を取得した侵害者に対しても、金融資産を取得した侵害者に対しても、遺産である不動産について、相続税評価額を0.8で割り戻す等の最も手堅く簡便な方法により評価しつつ、請求内容を統一することにより、そうした紛糾を回避することができました。
最終更新日 2024年12月4日