ご相談
Xさん(50代、女性、会社員)は、死亡した母の百箇日法要が終わった頃、兄Y(60代、男性、無職)と母の遺産相続の話をしようとすると、兄が不機嫌になり、金融資産の開示にも応じませんでした。
後日、母の口座の取引履歴を調査したところ、母の生前から死後にかけて、母名義の口座から預貯金が50万円ないし100万円ずつ、多数回にわたり引き出され、残高がほぼゼロになっていることがわかりました。
そこで、XさんがYと話をしたところ、「長男が家督継承するのが常識」などと言われ、取り合ってもらえませんでした。
また、すでに亡くなっている父名義の不動産も多数あり、父の遺産についても遺産分割する必要がありました。
Xさんは、Yが両親の介護をほとんど行わず、身勝手な言い分で両親の金銭を取り込んだYに一矢を報いたい、実家がなくならないようにしたいと考え、当事務所に相談に来られました。
当事務所の活動
当事務所は、遺産を調査した結果、Yが取り込んだ預貯金が多額なので、民事手続きを行うことも検討しました。
ただ、Xさんが話し合いでの解決を望んだことから、取り込まれた預貯金を含む遺産全体を分割するため、調停を申し立てました。
第1回期日において、当事務所は、Yに全遺産を取得させ、その代償金として、Xさんに相続分の金銭を支払わせるという調停案を提示しましたが、Yは、換価しにくい不動産を取得することに難色を示しました。
ただ、当事務所が現地調査したうえで、不動産業者に確認したところによると、Yが取得に難色を示している土地は、必ずしも換価が難しいわけではないことがわかりました。
そこで、当事務所は、Xさんの了解を得て、Yに対し、期日間に、その土地だけ現物で取得することとし、その他は金銭で受け取るとの調停条項案を提示してYを説得し、内諾を得ました。
活動の結果
その結果、第2回期日において、無事調停を成立させることができました。
Xさん側は、相続分の財産を回収することができ、大変喜んでおられました。
解決のポイント
一般的に、遺産を取り込んだ相続人は、やましい点があるため、弁護士が取り込みの事実を指摘すると、あっさり観念して分割に応じる傾向があります。
当事務所は、そうした心情を踏まえ、相手方の希望も一部取り込むことによって、無事調停を成立させることができました。
最終更新日 2022年2月13日
最終更新日 2022年2月13日